「客引き防止条例」市民活動は対象外 制定前議会で確認

2017.7.4船橋市議会で「客引き防止条例、市民活動や政治活動は規制の対象外」が確認されていました。船橋市議会議事録から該当部分を引用します。

 


平成29年第2回定例会

 平成29年第2回船橋市議会定例会会議録(第2号)

〇議事日程(第2号)平成29年7月4日(火) 午前10時開議   

◆岩井友子 議員  
 次に、客引き行為の条例について伺います。居酒屋などの客引きの強引さに嫌な思いをさせられるのを何とかしたいということはわかります。私自身も客引き同士のけんかを見たことがあって、かなりエスカレートしてるというふうに感じたことがあります。条例化を求める市民の声があるのはそのとおりだというふうに思いますが、先ほどの質疑の中でまだ市民の方々全体にちゃんと聞いてないじゃないかというのもそのとおりだというふうに思いました。
 この提案された条例案ですが、居酒屋ですとか、カラオケボックスなど、客引きを行っている者を特定をしていません。解釈によっては幅広く市民を取り締まるものになっているのではないか、そういう危惧があります。そうならないことを求めて質問をしたいと思います。
 客引き行為等の定義ですが、条例を見てみますと、「道路、公園、広場その他の公共の用に供する場における不特定の者の中から相手方を特定して、営利を目的とする事業の客となるよう勧誘する行為」となっています。業種を特定しておりません。営利を目的というふうになりますと、例えば市民文化ホールでジャズの公演会を開催する市民グループが駅前の路上で案内のビラを配ったり、関心を寄せてくれた人にチケットを勧める。入場料をとるものであれば、営利を目的としたということに該当されかねません。原発反対や核兵器廃絶を求める市民が講師を招いた講演会を行うビラはどうでしょうか。署名活動はどうでしょうか。こうした市民活動、政治活動が規制されるものにしてはならないというふうに思いますが、規制しないと言えるんでしょうか。お答えください。
     [市民生活部長登壇]
◎市民生活部長(野々下次郎) お答えします。
 本条例におきましては、営利を目的とする事業の客引き等を規制の対象とするもので、市民活動や政治活動が規制の対象となることはございません。
 以上でございます。
     [岩井友子議員登壇]
◆岩井友子 議員  市民活動、政治活動を規制するものではないということだったんですけれども、営利を目的とする事業ということになってしまうと、先ほども言ったとおり、入場料をとって、利益がそこに出てしまう団体は営利を目的というふうに言われてしまう恐れがあるわけですね。そこのところはどう区別をつけるんですか。
     [市民生活部長登壇]
◎市民生活部長(野々下次郎) お答えします。
 市民生活活動における不特定多数に対するビラ配りなどについては、その配布物や配布方法などを見きわめた上で、客引き行為等と区別するものと考えております。
 以上でございます。
     [岩井友子議員登壇]
◆岩井友子 議員  ビラを見きわめた上でということなんですけれど、そのビラを見て、チケット代1,000円だったら対象外、5,000円だったら対象になるとか、そういうことになるわけですか。どこに基準があるのかがよくわからなかったので、何を基準にビラを見て判断をするのでしょうか。営利活動か、営利活動じゃないのかというのはどこで判断するんですか。
     [市民生活部長登壇]
◎市民生活部長(野々下次郎) お答えします。
 営利か営利じゃないかの、その見きわめということでございますけれども、実際も、その個々の対応になってくると思いますので、それはその都度その状況で判断をしていきたいと思います。それと、あと、いろいろなケースが今後考えられますので、具体的な要綱等を作成して、適正に対応していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
     [岩井友子議員登壇]
◆岩井友子 議員  結局、基準が明確にならずに、今後具体的なことについては要綱でということだったんですが、非常に難しいことだというふうに思います。
 もう1つ、特に説明資料の中に「道路使用許可を得て、通行の妨げとならない指定された場所で行われるチラシやティッシュ配りは規制の対象とはならない」という文章が入っていました。とてもこれは問題のある文章です。道路使用許可をとっていないビラまきは規制の対象となる可能性を示唆するものだからです。
 それで、ビラまきは一般交通に著しい影響を及ぼす行為ではない。警察署長の許可を要する行為に該当しない、これがビラまきについての判決・判例です。有楽町ビラまき事件とか東金事件とか、いろいろビラまきを規制した事件があって、それに対する判決ではこういうふうな判例となっています。特に、ビラ配りまで許可の対象として、無許可だということを理由に取り締まることができないことを警察官は知るべきであったのに、逮捕したのは不法行為であると警察官に損害賠償を命じた判決も出ております。これ、千葉県警です。ビラ配りへの干渉は不法行為として、逮捕された青年に損害賠償が支払われました。一般交通に影響を及ぼす行為ではなく、著しい影響を及ぼすことになっている、これはどういう意味があるのかというと、憲法21条の表現の自由を最大限保障しなければならない。一般にちょっと影響があるからと言って、表現の自由を侵害してはならないということを示したものなんです。
 このように表現の自由に対する不法行為を招くような条例になってはならないということを申し上げたいと思います。そこで、道路使用許可の有無にかかわらず、規制のビラまきについては規制の対象外にすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
     [市民生活部長登壇]
◎市民生活部長(野々下次郎) お答えします。
 先ほどもご答弁を申し上げましたが、今回の条例案では、市民活動や政治活動が規制の対象とはなりませんが、道路使用許可につきましては、警察の管轄となるため、確認の上、私どもの指導員についても周知をしてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
     [岩井友子議員登壇]
◆岩井友子 議員  よくチラシまきは道路使用許可が必要だというふうに勘違いされている方があって、許可をとってるのかというふうにおっしゃる方がいるので、これについては、指導員がもし市民からそういうふうに言われた場合でも、不法行為を行うことがないように、ここは指導を徹底していただきたいというふうに思います。
 さらに、柏市の条例を見てみました。柏市の場合は、対象業種を非常に限定をしております。船橋市は営利を目的というふうに、かなり大きな枠になっていますけれど、柏市の場合では、アとして「酒類を伴う飲食をさせる行為」、イとして「個室を設けて当該個室において専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる施設を提供する行為」──カラオケだと思いますね。それから、ウとして「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業及び同条第7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業に関する行為」というふうに、客引き行為の業種……対象を非常に限定しているんです。条例でこういうふうに記載をして限定してあります。船橋市としても、多分規制しようとしている、規制の対象にしようとしているのは、この3つではないかというふうに思いますが、もしこの3つ以外にあれば、挙げてください。
     [市民生活部長登壇]
◎市民生活部長(野々下次郎) お答えします。
 現段階におきましては、議員のおっしゃるとおり、居酒屋等とあと、カラオケ等が、これが船橋市の駅前、もしくは西船橋、津田沼駅というふうに多数見受けられるところであります。そのようなことから、現段階では、この居酒屋等ということがですね、今回は主眼になってくるとは思いますが、今回の条例の目的は、平穏な通行ということと、快適な生活環境の確保ということを目的としておりますので、そのようなこともあり、今条例については、業種については限定してないというふうになっております。
 以上でございます。
     [岩井友子議員登壇]
◆岩井友子 議員  今の答弁で、船橋市もやはり対象の業種というのは居酒屋とカラオケということを対象にしているというのがわかるんですけれど、この条例、読んだだけでは、そうはならないんですね。それで、この点については、運用を限定的に行うことを求めますし、さらに、先ほどの不法行為の問題についても、仮に警備員に委託する場合でも、不法行為を行わないということを厳密にしていただきたいというふうに思います。これについては、きょうはここまでにしておきます。あとは委員会の中でしっかりと質疑していただこうと思います。

引用:船橋市議会議事録